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無事に夜鬼を殺し終えた私と菜奈は少し急ぎ足で恵実たちの元へ向かっていた。
何か嫌なことが起きている気がする。そう考えて、私の足は更に早足になった。そうして壊れた街の中を進んでいると、私たちは恵実達を見つけることができた。ただし様子が変だ。何かを見つめて、じっとして動かない。それを見た私たちは更に胸を逆なでされ、急いで恵実たちに駆け寄った。
「大丈夫?どうしたの?」
私がそう尋ねると、お姉ちゃんは何かから少し目をそらし私達の方を見た。
「ああ、お前ら無事だったか。」
「うん、なんとか。お姉ちゃんたちは?」
「問題ない。でも、一つ厄介なもんに遭遇した。前見てみろ。」
そう言われ私たちは前を見つめ、絶句した。そこには、昨日私が夢で見たあの夜鬼が呆然と立っていた。
「何で、あんなものが実在してるですか。」
それだけ言うのかやっとのように、菜奈は震えながらそう言った。
その言動に違和感を抱いたのか、恵実は私達の方を見て
「お前ら、アレの事知ってんの?」とだけ訪ねた。
私は何も答えることができず、ただ、その夜鬼を見つめることしかできなかった。
その隣で菜奈は意を決したように大きく頷いた。
「あの夜鬼は、わたしが相手をするです。」
それだけ言うと、菜奈は夜鬼に向かって飛び出して行った。
「おい!待て!」お姉ちゃんと恵実は菜奈を止めようとしたが、菜奈は止まらず、夜鬼と一定の距離を取りながら銃を構え、連射した。
「由佳を守るために!あなたには!死んでもらいます!」
菜奈はそう叫び、夜鬼を殺しにかかった。
それから数分後、夜鬼は何の抵抗もせず、あっけなく死んでしまった。
「ハア、ハア。」
珍しく、疲れたように肩で息をする菜奈に私は駆け寄り、
「大…丈夫?」
とだけ聞いた。
すると菜奈は今までに見せたことのないくらいの笑顔で
「はい、なんとか。」
と短く答えた。
そんなやり取りを見ていたお姉ちゃんが「今日はもう移動すんのはやめといたほうがいいな。」と呟き、全員それに頷いて、近くの廃屋で今日一夜を明かす事にした。
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