第二章 戦う意思

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そうして、二人揃って地面に腰を下ろし、白瀬は無線機で由佳達と連絡を取り始めた。 「おー、生きてたか。そっち大丈夫か?」 『うん、なんとか。ゴメン、お姉ちゃん。少しだけ銃使っちゃった。なかなか巻けなくてしびれを切らした恵実が。』 『お前も援護だっていって撃っただろ!?それも楽しそうに!』 『それは恵実の後ろからもう一匹襲いかかろうとしてたからだよ!それに楽しそうに撃ってないし!』 白瀬の無線機から恵実と由佳が口論をしている声が聞こえる。二人とも無事なようで、心からホッとした。 「とにかく、二人とも無事なんですね?」 『うん、怪我もないよ。』 「そうですか。なら良かったです。今私たちの居場所を教えるのでそこに向かって歩いてきてください。くれぐれも夜鬼とは遭遇しないように。」 そう恵実達に念押しをして、菜奈はGPSで自分と由佳達の居場所を探し始めた。 「ラッキーですね。まっすぐ南に降りてくれば合流できます。」 『わかった!由佳の事はあたしに任せろ!んじゃな!』 そう言い残して、恵実は、無線を切ってしまった。 「ハァ、ホントにわかってるんですかね?。」 心配そうなため息をつきながら、菜奈は廃屋を見つめ始めた。 「大丈夫だろ?あっちには恵実がいるし、あいつらが大丈夫って言ったんなら私たちは信じて待つ事しかできないだろ?」 「それはそうですが。」 煮え切らない思いを抱いてナナはまた廃屋を見つめ続ける。 「白瀬さんは、平気なんですか?唯一の家族をその友達に預けて、心配ではないのですか?」 「そりゃ、全然平気ってわけじゃないさ。でも、あいにく私はお前らのこともう完全に信じ切ってるんでな。これからの方針も、私の妹を守ることも、全部あんたらに任せる。ただ私がやれることは、あんたらを死ぬ気で守ることだけさ。」 そう前を向いて話す白瀬を見て、菜奈は少しだけ由香を羨ましく思った。
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