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いつしかじいちゃんは、ベッドの上で生活するようになりました。
「じいちゃん、寒くない?」
「......。」
じいちゃんには、僕の声が聞こえていないようでした。
じいちゃんの手は、ばあちゃんのひんやりした手と違って少し熱かった。
たぶん、熱があるのだと思います。
ばあちゃんはじいちゃんのベッドのそばにじっと座って、目を閉じています。
僕は寂しくなって、ばあちゃんに話しかけました。
「ばあちゃん....。」
別に話したいことなんて無いけれど。
「焦ってはいけないよ。」
「どういうこと?」
「この時間も、じいちゃんの大切な時間なんだ。じいちゃんはみんなが来てくれるのを待っているのさ。」
ばあちゃんは、またしわくちゃの笑顔で僕の頭を撫でます。
お母さんが僕の名前を呼び、夕食の時間を知らせました。
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