私が好きなのは

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「里奈さんは、何気なく言った言葉かも しれないけど、中学生の俺には、特別な言葉 だったんだ。」 「私、何言った?」 「体育祭の後、悔し泣きしてる俺に、 『私は一生、晴生くんのがんばりは忘れないと 思う。』って。 負けたけど、頑張ってよかったって思えた。 それから、喧嘩した時も、 『先生は、晴生くんのその正義感、 好きだなぁ』って。 それ聞いて、俺は、先生が好きだって 思ったんだ。」 それっぽい事を言ったのは、覚えてる。 でも、確かに思春期の中学生なら、勘違いしかねない表現かも。 「ごめんなさい。 配慮が足りなかったね。」 「なんで謝るの? 俺、先生の言葉で救われたんだよ? 10年前、あんなににこにこして俺たちに 向き合ってくれてた里奈さんが、なんで今、 笑わなくなっちゃったのか知らないけど、 俺は、里奈さんに笑ってて欲しいし、 俺が里奈さんを笑顔にしたいと思う。 だから、里奈さん、俺と付き合おう?」 晴生くんにまっすぐ見つめられると、どうしていいか分からなくなる。
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