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はじめに
まず、はじめに言っておく。
何で、全てが始まったのかなんて、僕たちにもわからないってこと。
いつから、何で、何のためになんて、僕たちは、知らない。
僕たちは、あの夜、幾千もの星が流れたあの夜に、閉じられた部屋のあの窓辺に二人膝をついて天に祈った。
たった二つのことを。
まず一つ目は、神様が、いますようにってこと。
もう一つは、その神様が僕たちをここから救い出してくれますようにってこと。
そして、あれが起こった。
僕たち、二人の間に、電流のような光が流れて、その光は、やがて、僕たちが10年間、閉じ込められていた部屋の中に溢れ、どんどんと広がっていった。
光は、闇を払い、どこまでも夜を侵食していった。
気が付くと、星空の下に僕らは、二人たっていたきりで立っていた。
僕らは、世界にたった二人だった。
僕らを閉じ込めていた家も、親も、何もかもが消滅していた。
世界は、見渡す限りの荒野だった。
その夜、起こったことを他の連中が始原の降臨とか、ファーストアクシデントとか言っていることは、何年も後になってから知ったけど、僕たちには、関係のないことだった。
僕らにとって、その夜は、解放の時であり、僕たちの人生が本当に始まった時だった。
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