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私の仕事は人が死ぬのを待ち、魂の抜けた亡骸を土の中に納めることだ
この街には奇病が流行り、毎日人が死ぬ、その度に私は穴を掘り埋葬する
「よう、あんた……ゴホッッゴホ」
「あなたももうすぐですね、今日は何ですか?」
「ゴホッッゴホ、もうこの街の人は殆ど死んでしまったね、毎日こんな老いぼれと話してくれてありがとうね……ゴホッッゴホ、最後に聞きたいのだが、あんたが死んだら誰があんたを埋めるんだい?」
「それは私が死ぬまで解りませんよ、薬を飲む時間じゃないですか?ささ、お家に帰りましょう」
その老人はその晩に死んだ、勿論埋葬した、涙は出ない、私はそう創られたのだ
数ヵ月で街の人間は全て土の中に入った、次の街に出掛けよう
道の途中、あの老人が言ったことを思い出した
私が死んだら誰が私を埋めるのだろう
チクタクと動く心臓に、まだメンテナンスの必要はなさそうだ
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