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「いや、勘違いしないで下さい!これ、別にラブレターでも何でもないので……」
すると、彼は思い切り首を振って来た。
「えぇ~嘘だ~!だって、"モモ"って明らかに女の人の名前じゃないですか?」
私は彼が握り締めて離さない手紙を指差した。だって、ピンクの封には"モモへ"とデカく宛名が書いてあるのだ。彼は私の視線に気付くと素早く手紙を後ろに隠した。
「いや、その……本当のこと話すと君絶対引くから……」
「いやいや、引かない!引かない!話して下さいよ!」
私は彼に詰め寄っていった。
─── 好奇心旺盛な私に出会ってしまったのが運の尽き。さぁ、洗いざらい話すのだ!
私が大袈裟に威張ってやると、彼は俯いて口をモニョモニョ動かした。
「……だ」
だが、弱々しくて全く聞こえやしない。
「え?なに?」
「……んだ」
やっぱり聞こえない。私は思わず彼に近付いた。
「えっと、聞こえな……」
「【元カノ】!!」
そのとき、彼の声が天を貫いた。それはあまりに突然だったので、私は池の鯉のようにパカっと口を開けたまま静止した。
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