6人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
*
「ただいまー」
「おかえりー」
家に帰ると、母が台所から顔を出した。私はすぐに自分の部屋に行こうとしたが、違和感を覚えてすぐにバックした。そして、母の顔をじっと眺めた。
「なんかいいことあった?」
思わず尋ねると、母はパァと明るく笑った。
「分かる?」
そして、一旦奥にはけて何かを持って来た。
「ほら、お母さん若い時に家庭教師の【バイト】してたって言ったじゃない?」
「うん、それがどうしたの?」
「それでね!今日その教え子から手紙が届いたのよ!」
母はサッとその手紙を取り出した。手紙の封は淡いピンクで端に可愛いウサギのイラストがついている……何かが引っかかった。
─── これ、どこかで……
「小学生の男の子だったわ」
私は少し考えたかったが、母は早速思い出に浸り始めた。
最初のコメントを投稿しよう!