【流血注意】軍神降臨(ジェームダル陣内より)

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 こんな男だが、戦場で培った武も本物だった。別に仲間を助けてやろうとは思わなかったが、強者と戦う事にも心が躍る。  だが、コルギルは大事な一点を見誤った。まさか真っ当に切り結ぶ事もできないとは、考えていなかったのだ。  向き合い、斬り合う姿勢を見せたコルギルは自慢の剣を振り上げる。  黒衣の騎士はその剣を下から切り上げた。  ビリビリともの凄い衝撃で痺れ、上へ弾かれた腕が戻ってこない。そして完全に痺れた手から剣が落ちた。 「あが?」  黒騎士の次の一閃で、コルギルは弾き上げられ戻らないままの両腕ごと首を飛ばされて地に転がった。  その後も黒騎士による一方的な殺戮は続いた。  もしもここに優秀な弓兵の一人もいれば、多少善戦できたかもしれない。黒騎士の剣は長いが、それでも弓の間合いには勝てない。馬がどれほどの駿馬でも、高い位置に陣取ればその範囲にない。  だがジェームダル軍は高価な大砲を一基導入したことで侮ったのだ。この大砲が無力化されることを想定していなかった。  故に、ここに弓兵はいなかった。  黒騎士が現れて、わずか二時間。ジェームダル陣営は瓦解した。  総勢一千百人もの兵のなか、命からがら逃げ出せたのはたったの二百。残り九百もの兵が僅かな時間に、しかもたった一人の黒騎士の手で屠られたのだった。     
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