願いよ届け(アシュレー)

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願いよ届け(アシュレー)

 騎士団砦は迎え入れるように門を開けていた。そこにはゼロスとコンラッド、そしてランバートが出迎えてくれたが、アシュレーはランバートを見て目を見開いた。 「アシュレー様」 「ランバート、お前……」 「それは後でいいです。とにかく早く」  何が、早くなんだ。  分からないまま、不安が胸を埋めていく。ランバートが前を急ぐ。その足は処置室の横、重傷者が運ばれる部屋へと向かっているように思えた。  扉を開けると、真っ白い部屋の中で不安げな顔をしたエリオットと、知らない白髪の人物がいた。  髪の色だろうが、シウスに似た神秘性を感じる。その人物はベッドに寝ている者の手を取り祈っていたが、扉が開いた事で薄紫の瞳をこちらへと向けた。 「……ぁ」  眠っている者の顔が、見えた。途端、膝から崩れてしまいそうだった。  ウェインが眠っている。息をしているのか、遠目では分からないくらい胸の上下が少ない。 「アシュレー」 「どうして、何が……」 「……背後から、矢を」  それだけで、言い知れぬ恐怖が全身を包む。無防備な後ろから、矢を受けた? 意識がないのは、眠っているんじゃない? 胸の上下が少ないのは、もう駄目なのか?     
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