願いよ届け(アシュレー)

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★ランバート  その夜、兵糧を運び込む隊員と一緒にラジェーナ砦へと向かった。報告が一番の仕事だが、それ以上に側にいるなら会いたくなったのだ。  当然許可はもらい、なんなら一日くらい引きこもれとシウスは言ってくれたがそれは流石に気が引ける。今夜一晩泊まり、翌日ファウストを連れてアルブレヒトに会わせる予定にした。  にもかかわらず、アルブレヒトからも「予定は未定ですから」なんて笑って送り出されてしまった。あの人も案外俗物だ。  それでも気持ちは少し明るい。ウェインの意識が戻り、容態も安定した。絶対安静が解けたわけではないし、医師常駐も解けていない。だが会話ができたという事は、少なからず周囲を安堵させた。  砦での事、怪我人の報告。とくにウェインの事をオリヴァーとファウストに話した時は二人とも顔色を無くしたが、現状を伝えるとほっと息を吐いた。 「よかった、本当に……」  息を吐いたオリヴァーの目には安堵から薄ら涙が浮かび、それを手で拭っている。そして次には綺麗な笑みを見せた。 「こちらも大きな被害はありません。というよりも、ファウスト様一人でほぼ壊滅状態にしてしまいましたからね」 「その、ようですね……」     
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