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「嫌ではないが、驚いた。少し取り乱した」
「はは」
ここに来た直後の事を思いだして笑った。ランバートを見て目を丸くして動きを止めたのだから。まぁ、見慣れなくて驚いただろう。
ファウストの唇がそっと、項や背に触れた。少しヒリッとした気もするが、それ以上にファウストの温もりを感じる。
「んぅ」
「早くよくなるように」
「本当にそれだけか?」
「ちょっとだけ、お仕置きだ」
拗ねられて、笑う。ファウストは薬を背に塗って、シャツを着せかけてくれた。
「あまり煽らないでくれよ、ファウスト」
「欲しくなるか? 俺は構わないぞ」
「今はいらない。全部終わってから、王都でくれよ。気兼ねなく欲しい」
「溜めると俺も止まらなくなるぞ」
「いいよ、今更だから。もう寝込むの覚悟しておく」
「よく言った。覚えておけよ」
鋭く笑いながらも、優しいキスが降り注ぐ。それに甘えて、ランバートも応えるようにしている。
足りていない事は明確で、与えられる温かさが心地よくて、いつまでもこうしていたいのは確かなのだ。
「さて、休もう。明日は色々と話を詰めなければならないだろうからな」
「そうだな」
「一緒に寝てもいいだろ?」
「襲わないか?」
「襲わない。これでも約束は守るつもりだ」
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