副業始めました

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「じゃあ、一体何を売ってるねん。お前の家、嫁と子供以外何もないやんけ」 「アホ、お前が知ってる俺とはもう違うで、俺は作家や。絵本作家や」 「はあ、どうしたんや。頭沸いてんのか。まだ、夏本番までちょっとあるで。目を覚ませ!」 「お前は知らんかもしれんが、ウチの嫁は絵が描けるんや。どや、すごいやろ」 「ええっ、絵?ええっ、絵?」 「え、しか言ってないやんけ。なんのボケやねん。あんな、嫁に絵描いてもらって、俺が文章考えてそれを売ってるねん」 「お前が文章考える?ネタは一行も書けへんのに。どんな絵本やねん。あっ、わかった、あれやな大人の絵本やな、フランス書院とかそんなんやな。おっさんほんませこいわ」 「ちゃうわ。何言うてんねん。童話や。子供向けの。カエルがどうした、猫がどうしたみたいなやつあるやろ。あんなんや」 「でもそれ本やんけ。お前本なんか、出版したんか。全く聞いてないで」 「オークションサイトで原画売ってるねん。嫁が描いたやつ。あと嫁が持ってた本とか絵本とか子供の童話とか、梱包作業が大変やわ。めんどくさいわ」 「それ奥さん知ってるの?」 「知らんに決まってるやんけ。勝手に売ってるのに。バレたらめちゃめちゃ怒られるやんけ」 「よかったよ。俺は間違ってなかった。やっぱりお前はとんでもない、最低なやつや」 「なんでやねん、副収入ないと遊ばれへんやんけ。どうやってオネエちゃんとデートするねん」 「離婚や、離婚。俺がお前の嫁やったら確実に離婚するね。でも、その原画うってもうて大丈夫なんか。絵本用に描いてる絵なんやろ。もう印刷済みのやつなんやろうな」 「あっ…まだ出版社決まってないわ。あれ売ってもうたら本でけへんやん。なんでそれを先言うてくれへんのや。嫁にもう一回描いてなんて言われへんで」 「知らんがな、お前が代わりに絵を描いたらええんちゃうか?」 「ええっ、絵。ええっ、絵。俺が絵?」 「もうエはええわ、さいなら」
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