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「はぁ……」
疲れた。
昨日もそうだったが、今日もまた疲れた。
最近、詰まりに詰まりすぎだ。五年も経ったから、さすがに仕事には慣れたけど、慣れた分はきっちり仕事量を足される。だから、結局大変さは今も昔も変わりない。
吸って吐いたら、それで一日終わり。支給される金額の倍以上は、働いている自信があるのに、疲れもポイント制で溜まっていく。もう少しで、ゴールド会員になれそうな勢いだ。
僕は今日も、赤のままの信号機を睨みつけた。朝の通勤時の待ち時間も辛いが、帰りの時間の方がもっと辛い。こうやって待ってる間に、今日あったことが頭の中に次々と流れ込んでくるからだ。
上司から溢れた小言も。
言い渡されたタスクも。
いいことなんて、ひとつも出てこない。
鼻が、ムズムズしてくる。
そのとき、朝貰ったポケットティッシュのことを不意に思い出して、カバンの中から取り出してみた。ポケットティッシュにはチラシが挟まっていて、『買い取ります!』の文字が見えた。
─── 車か、服か?それとも本か?
様々な憶測を浮かべながら、僕は右の親指をどけた。だが、買い取るのは、車でも服でも、はたまた本でもなかった。
『あなたの時間、買い取ります!』
僕は、首を傾げた。
─── はて……?
不審に思い、近付けて見てみたが、やっぱり"時間"と書いてある。 そして、チラシの右下に視線を移すと、社名らしきものが印刷されてあった。
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