「こんな俺でよろしければ、」

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ガチャ 「ただいま!」 「……っ、おかえり」 少しだけ息を切らした俺に、 不思議そうに首を傾げながらも、彼女は続けた。 「昨日はお疲れさま。少しは寝られた?」 「……」 何も答えない俺に、 眉間にシワを寄せて、どうした?と彼女。 「……結婚しよ。」 ポカンと口を開けて、今度は彼女が絶句する。 唐突に口から溢れ落ちた言葉。 自分で自分の言葉にハッとする。 小さく咳払いして、今度はちゃんと改まって。 「その、……こんな俺でよろしければ、」 "結婚してください" その一言を待たずに、 彼女が俺の肩に手を回して飛び付いた。 よろけながらもしっかりと受け止めて、 ギュッと抱き締める。 涙声で答えてくれたyesの返事を、 この華奢な背中を、 生涯護るための、『変わる』選択 こんな幸せそうな彼女が見られるなら、 悪くない、そう思った。 ―――――――――
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