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確かに、彼女の住む一人暮らしのアパートは、
ここから二駅のところだからタクシーでもすぐだ。
合鍵も、彼女から渡されて一応は持ってる。
でも、今まで使ったことは一度もなかった。
俺と彼女は職場が近いということもあって、
平日のデートといえば、たまにこの近くで外食をするくらい。
仕事柄、俺の方が帰りが遅いから、
休みの前日の仕事終わりに、彼女が先にウチに来ていて、そのまま俺の家でまったりと過ごすことが定番となっていた。
俺が「ただいま」、彼女が「おかえり」のパターン。
生活し慣れた自分の部屋に、彼女に来てもらう方が気楽だったから。
だから、彼女からの誘いに正直即答しかねてしまった。
しかも本人不在の家なんて、
何となく居たたまれない気がして。
だけど、
なぜだか……
彼女からの労りのメッセージが、疲れきった心身にじわじわと染み渡って、
……今日は無性に、彼女が恋しい。
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