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「ねぇ、次はいつ会ってくれるの?」
「さぁ」
シャツを着ながら素っ気ない返事をするタケル。女はベッドから降り、そんなタケルに裸のまま抱きついた。
「タケルはいっつもそう。都合のいいときだけあたしと遊んで。…あたしはタケルの何なの?」
「何やろな」
女の苛立ちが手に取るように分かる。
「ちゃんと答えて!もしかして、他にも女がいるんじゃないの?」
「別に」
「いるんでしょ!正直に言いなさいよ!」
ギュッ
タケルのシャツを思いっきり握りしめ、下から睨み付ける瞳。薄く涙が揺れている。
タケルは女の長い髪を手でかき上げ、小さく微笑んだ。その笑みは「そんなワケないじゃん」と言っているようにもとれた。
すると女もそれに微笑み返した。
「…ごめんね、酷いこと言っちゃって…そんなワケないのにね。」
「………」
「タケル…愛してる」
そっと目を閉じ、自分の優しい仕草を待っている女。
タケルはその女の長い髪を片方、優しく耳にかけると吐息が聞こえるほど近くまで口を近づけて、言った。
「他にも女がいるとか思ってんだったら勝手にそう思いこんどけよ。」
バッ
タケルは女の手を振りほどいてドアへと向かった。一瞬にして青ざめる彼女の表情。
「いやっ…待ってよ!タケル!行かないで!ごめんなさい!!お願いだから!!」
「さよなら」
タケルはその一言を残し、部屋から出ていった。
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