【第2話】『扉』

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女ってなんでこうややこしいんだ。  一人で車に乗り込んだタケルはエンジンをかけ、ため息をついた。 タケルは本当に他の女に手など出してはいなかった。しかし、今の女の事も本気になることができず、別れるのにはちょうど都合がいい、と思い否定をしなかったのだ。タケルにとってはただの『暇つぶし』だった。 あー疲れた…  その時、携帯の着信が車内に鳴り響いた。 電話までかけてくんなや  そう思いながらも嫌々電話をとった。 「…何」 『もしもしタケル?』  聞こえてきた声は意に反してケイのものだった。 「あぁ…おまえか。何?」 『あの…眠れないんだけど、添い寝してくれない?』    ケイの弱々しい声で作られたその言葉にタケルは混乱した。 「は?一人で寝ろよ気持ち悪い。」 『へへ。嘘やって、もう、タケルは騙されやすいなぁ』  クスクスと笑うケイの声が受話器から聞こえてくる。からかわれた事に対して、タケルはムカッとした。 「……で、何の用?」 『ごめんごめん。ライブ決まったって聞いた?』 「さっき連絡きた。」 『そっか。でな、今日アッちゃんちで鍋するねんて。タケル来れるやろ?』 「別に予定ないけど。」 『ほんまに!じゃあ…申し訳ないんやけど、車で拾ってってくれんかなぁ。』 「…ええけど。じゃあまた行くとき連絡する」 『ありがとう、よろしく!』
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