【第2話】『扉』

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 ――夕方、タケルは車でケイの住むマンションまで迎えに行った。BGMは暗めのロック。外にはパラパラと雪まで降り出した。  車からマンションが見えると、ケイはもう外に立っていた。 足らへんまである長いコートに白いマフラー。どこから見ても女にしか見えないような格好だった。    タケルの車を見つけ、大きく手を振るケイ。タケルはマンション前の道脇に車を止めた。 ドアを開け、白い息を吐きながら寒そうに中へ入ってくるケイ。 「部屋の中で待ってればよかったのに。着いたら連絡するつもりやったし。」 「早くタケルに会いたかったんやっ」  そう言ってニコニコするケイ。 「あぁそう。」  もう騙されないぞ、と、タケルは適当に返事を流した。 「ほんまやで?」 「はいはい」  それにしてもまだこのケイという人物に慣れる事ができない。本当に自分は人見知りかもしれないと思っていた時、ケイが不満そうに言った。 「ってかなんでこんな暗い曲かけてんの!?パーティーの前なんだから、明るい曲かけようや!」 「ええねん」 「だってこんなんムードないやん!!」  ケイはそう言うと勝手にCDをあさり、ノリのいい曲に入れ替えた。 「…ま、別にいいけど。」  タケルはそう言うと、呆れながらも笑ってしまった。   二人は途中、スーパーに立ち寄った。 「タケル、みんなはどのお酒が好きなんかな?」 「さぁ、ビールでええと思うけど。」  タケルは段ボールに24本入りの缶ビールを見つけると1箱カートに乗せた。 「みんな結構飲むの??」 「リョウがめちゃくちゃザルやからなぁ。1箱じゃ足りんかも。」  そう言って笑うと、ケイが目を丸くさせた。 「へぇ!リョウちゃんすごい!」 「…ってか何でお前みんな『ちゃん』付けなん?俺だけ呼び捨てやん。」 「だって『タケちゃん』とかなんか気持ち悪いやん、タケルっぽくない!」 「ふぅん」 「あっ、おつまみも買わな!どこやろー?」  そう言って走って行くケイ。その姿は無邪気な子供のようだった。
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