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「おぅ!二人とも遅かったやん!」
アツシの家に着いた頃にはもう鍋の準備が整っていた。そこには顔なじみであるアツシの彼女、カヨもいる。
「ではZillの初ライブ決定を記念して!乾杯!」
――その後、5人は夜遅くまで飲み明かした。このメンバーで飲むのはもちろん初めて。皆、いろんな会話をして楽しい時間を過ごした。
中でも一番先につぶれたのはケイだった。ケイは飲み過ぎて床に寝ころんでいた。
「ん~ゃ~」
「こいつ完全につぶれてもたな。おいケイ、ここに置いて帰るぞ。」
ケイの体を足で蹴りながら言うタケル。
するとアツシが凄い勢いで声をあげた。
「蹴るな!!」
突然の事にタケルもびっくりしてしまった。いつも誰に何をしても怒鳴らずに横で笑っているようなアツシがいきなり大声を上げたから。
「え…あぁ、悪かった」
タケルが謝るとアツシもハッと我に戻ったように言葉を言い直した。
「あ、いや…あの、まだ入ったばっかのメンバーやしさ、タケル、ただでさえ怖いんやし、暴力はいけないよって意味で…」
「暴力ってほどのもんでもねぇだろ」
「そうなんやけど…まぁ、あんまり、手は出さない方がぁ…バンド内環境的にもいいかなって…」
「ふぅん。」
明らかにいつもと違うアツシの態度に何か引っかかったし、ムカついた。なんで今日に限って怒られたのか分からなかったから。
「ま、それはいいとして、布団ひくからケイくんこっちに連れておいで。」
そう言ってカヨは布団を敷きに行った。
「まぁでも酔っぱらったケイもなんか色っぽいね。」
空気を和らげようと、笑いながら冗談を言うリョウ。こういう所ではやっぱりリョウの空気を読める優しさが活躍する。
タケルは、まぁいいや、と立ち上がった。
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