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「ケイ、起きろ。」
タケルがケイの腕を引っ張るとケイはタケルにくっついてきた。
「ん~。キスしてぇ!チュー」
「うっさいわ酔っぱらいが。」
ケイの体を抱きかかえると、見た目より重いのにびっくりした。やっぱりちゃんとした男らしい。布団まで連れて行くとケイはタケルにしがみついた。
「何やねん、くっつくなよ気持ち悪い。」
「何?ラブラブなん?」
二人をからかうリョウ。アツシもまだ気まずそうだったが、一緒になって笑ってた。
「ちゃうわ。ふざけんな。」
そう言ってケイを引き離そうとしたが、ケイはしっかりタケルにひっついていて離れない。
「もう、ケイ!ええ加減に…」
タケルがケイの頭を起こすとケイは泣きながらタケルにしがみついていた。
「え…な、何?」
「…ごめ…なさ…い」
そう何度も繰り返しながら大粒の涙を流すケイ。さすがにタケルもとまどってしまった。
何で泣いてんねんこいつ…
「いや、別に…」
「いい…こに…なるから…もう…おいてかないで…」
静まり帰る部屋の中。
ケイのその言葉にどんな意味があったのか皆には分からない。アツシだけが、一人思い詰めたような顔をして下を向いていた。
「ごめん…なさ……んなさぃ…」
「…大丈夫やから、安心せぇ。誰もお前をおいて行かんから」
タケルはそう言ってケイが眠るまで彼の頭を撫でてやった。
【第2話-END-】
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