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――全てのライブが終わり、4人がライブハウスから出ると、そこには出待ちをしている女の子たちがたくさんいた。
4人が出てきたのを見て駆け寄ってくる女の子たち。
「今日、ライブ最高でした!」
「私ファンになっちゃいました!」
次々とライブの感想を言う女の子たち。4人は一気に女の子たちに取り囲まれた。
「みんな待っててくれたん?ありがとう、こんな寒いのに。」
アツシがお礼を言うと女の子たちはキャーキャーとはしゃいだ。
そんな中、一人だけその輪に入らず、こちらをチラチラと見てポツンと立っている小柄な子がいた。さっきタケルが演奏前に頭を撫でてやった子だ。
タケルはその子に気づくと他の女の子たちに「ちょっとごめんな」と言いながらその子に駆け寄った。
「あ!あのこ、タケルに頭撫でてもらってた子だよ!」
「マジで!?やっぱカワイイ子は得するんだねー。ずるいよ。」
「あんま調子こいてると、そのうち他のファンに潰されるよ。」
羨ましいのと嫉妬を交えながら、その子を見る女の子たち。
女の子はタケルが駆け寄って来てくれたことに驚いた様子で下を向き、マフラーで口を隠して恥ずかしそうにしている。
「あ、あの…」
「一人で来たん?」
「は、はい!あの、あたし、前のバンドの時からファンで…今日ライブするって噂を聞いたんで来たんです!」
「ほんまか、ありがとうね。」
「いえ、あたしの方こそ、こんな素敵なライブ見せてもらって、最高でした!」
そう言ってキラキラ光る目でタケルを見つめる女の子。寒さのせいか、鼻と頬が赤くなっている。
「…家、どこ?」
「あ、すぐそこです。」
「送ってくよ。」
「そ、そんなっ!とんでもないです!」
顔を赤くして首を振る女の子。
「ええから。いこ。」
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