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そう言ってタケルは駐車場の方へ歩いていった。とまどいながらもタケルの後をついていく女の子。
その様子に気づいたアツシがすかさず叫んだ。
「タケルー!!そういうの禁止って何度言ったら分かるねん!!ファンに手ぇ出すな言うたやろ!!」
そんなアツシの叫びもむなしく、タケルは軽く返してきた。
「別に手ぇ出すとか、そんなんちゃうから。暇やし、送るだけ。じゃ。」
ケイは勝手に帰ろうとしてしまっているタケルに叫んだ。
「タケルー!!俺は!?どうやって帰ればええんよ!」
「歩いて帰れば?」
タケルに冷たくあしらわれ、いじけているケイにリョウが声をかけた。
「しょうがないって、タケルは女第一なんだよ。」
「だってぇ!歩いて帰れってひどくない!?」
「あぁ、もう分かったから。今日は俺が送ってったげるから、安心しなさいな。」
「リョウちゃん…ありがとう…!!」
その横でアツシはイライラしていた。
「あーもう!!あいつの女癖さえ直れば言う事ないのに!!」
そんなアツシに絡んでくるファンの子たち。
「アツシ君は女遊びとかしないの?うちら、今夜空いてるよっ♪」
「え、えーっと…」
少し離れた所からこちらを睨みつけるカヨの視線に気づいた。
「……遠慮しときマス…。」
こうしてZillの初ライブは無事終わった。メンバーの誰もが、これからのバンドの成長に胸を躍らせていた。
【第3話-END-】
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