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相手と目があったケイはヨロシク、というように少し頭を下げた。
すると無視をするかのように目をそらされた。
なんや、態度でかいヤツらやなぁ
タケルがそう思っていると、タケルの苛立ちを察したのか、ケイはまぁまぁ、とタケルに軽く微笑んだ。
タケルはまぁいいか、と相手の事は気にしないようにして、タバコの自販機に金を入れた。その横で飲み物を買おうとしているケイ。
が、その時
カンッ!!
乾いたような空き缶の音がしてタケルはパッと音の方を見た。
「ジャストヒットー。」
カラカラカラ…
ケイの足下に転がる空き缶。それを見てクスクスと笑う男たち。
タケルには、あの4人のうちの誰かがケイに缶を投げつけたのだ、とすぐに分かった。
一気に込み上げてくる怒り。
「お前らええ加減に…!!」
4人に駆け寄っていくタケルの腕をケイが掴んだ。
「タケル!」
「離せや!もう黙ってられんわ!」
ケイの手を振りほどこうとするタケルの腕を、ケイは更に力を入れて掴んだ。
「…ええからタケル、な、控え室に戻ろ?」
そう言って小さく無理に微笑むケイ。タケルは力の入った拳を握りしめたまま4人を睨んだ。そしてケイの腕を引っ張り、自販機コーナーから出ていった。
4人はそんな二人の姿を見て、おかしそうに笑っていた。
「いきなり出てきたくせに、調子のってるからや。当然の罰やな」
「缶投げられたときのあいつの顔見た?マジでビビってやんの。」
「……ってかぁ、俺、あのヴォーカル知ってんだけど。」
「まじ?知り合い?」
「小学と中学ん時のね。…いわゆる『お友達』ってやつ?」
そう言ってまたクスクスと笑う。
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