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そのころ控え室ではタケルとアツシがお互いに背を向けて話していた。
「…で、ケイがはっきりしないから怒鳴ったわけ?」
「…そう。」
「はぁ、もうお前は。」
アツシは呆れた様子でため息をつき、タケルの方を向いた。
「お前な、人って色々やねん。お前みたいにおるだけで凶器みたいなヤツばっかとちゃうねんで?」
「うるせぇわボケ。」
「そうやって口が悪いとこもお前のアカンとこの一つや。」
「……」
「ケイにもケイの性格ってもんがあんねん。それをさ、無理にお前の考えを押しつけるのはよくないと思わん?」
「じゃああいつはこれからもああやって逃げるばっかや。そんなんやったらやられっぱなしになる。」
「…タケルどうしたん?何でケイの事にそんなに干渉するんや?いつもなら人の事なんか興味ないくせに。」
「…べつに。お前こそ、ケイの事になるとちょっと過保護過ぎんじゃねぇの?」
真剣な声で言うタケル。アツシはとまどいながらもタケルに聞き返した。
「こんな事聞きたくなかったけど…お前、ユキちゃんとケイをダブらせて見てるんじゃねぇの?」
「…んな事…」
「だからそんな必要以上にケイの事に干渉してまうんやろ?違う?」
「………」
やっぱりそうか、とアツシは一瞬黙ってしまった。
「……まぁ無理ないとは思うけど。やけどそのせいでケイに負担かけるような事はするな。ユキちゃんとケイは別人やねん。」
「…分かっとるわ」
タケルの中に怒りのような悲しみが押し寄せてきた。やっと忘れかけてたのに。よみがえって来た感情。タケルは胸に光るプレートのネックレスを握りしめた。
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