【第5話】 『血』

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「………」  無視をするようにトイレから出ていこうとするケイ。 「おい、ちょっと待てや。」  引き留められるように、男に腕を捕まれた。 「…なに」  ケイは冷たい目で相手を睨み付けた。 「誰を睨んでんのか分かってんの?テメェのその目、ムカつくんだよ!!」  ダンッ!!  大きな音とともにケイはトイレの壁に叩き付けられた。そのままケイの胸ぐらを掴む男。 「お前ら最近調子のってない?何様のつもり?」 「…べつに」  ケイは動揺することなく、ただ冷めきった目で相手を睨み続けた。  その時。それまで黙っていたメンバーの一人がスッとケイの前に立ち、壁に手をついた。 「……よぉ。」 「……」 「何イキがってんの?」 「…どけよ。」 「あれ?俺の事知らない?」 「……さぁ。」 「寂しい事言うなよぉ。」 「………」  しかし次の言葉でケイの表情が一変した。 「…久しぶり、『桐谷くん』」
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