3人が本棚に入れています
本棚に追加
!!
全身に寒気が走ったのが分かった。頭の血の気が引いていく。それと同時によみがえってくる記憶の断片。何枚もの写真のように、何本ものビデオテープのように、映像が一瞬にして駆けめぐった。
震え出す体。歯がガチガチと音を立てる。ケイは逃げだそうと震える手をゆっくりドアへと伸ばした。
そんなケイの行動を男たちが許すはずもない。一人がドアの前に立ち、完全に出口を塞いでしまった。
怯える姿を楽しむかのように、男はケイの髪を掴み耳元で言った。
「最近調子のってるバンドいるかと思えば、君だったのね。処分決定だな。」
ダンッ!!……ズルッ…
男はそのままケイを壁に叩き付けた。1度目よりも大きな音と共に叩き付けられたケイは、叩き付けられた弾みで頭を打ち、フラッとトイレの床に倒れ込んでしまった。
「はっ?もう立ってらんねぇの?弱っちぃな。」
「ってかまだ俺ら何も手出してなくない?」
ケイの視界がユラユラと動く。起きあがろうと手を付くが、力が入らない。全身に感じる、冷たいトイレのタイル。
「どこに寝てんだよ、汚ねぇな。」
一人が靴でケイの頭を踏みつける。
「あぁ……っ!!」
割れるような痛みにケイは声をあげた。
「さぁ、桐谷。遊びましょうか。昔みたいに…」
最初のコメントを投稿しよう!