【第5話】 『血』

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!!  全身に寒気が走ったのが分かった。頭の血の気が引いていく。それと同時によみがえってくる記憶の断片。何枚もの写真のように、何本ものビデオテープのように、映像が一瞬にして駆けめぐった。  震え出す体。歯がガチガチと音を立てる。ケイは逃げだそうと震える手をゆっくりドアへと伸ばした。  そんなケイの行動を男たちが許すはずもない。一人がドアの前に立ち、完全に出口を塞いでしまった。  怯える姿を楽しむかのように、男はケイの髪を掴み耳元で言った。 「最近調子のってるバンドいるかと思えば、君だったのね。処分決定だな。」  ダンッ!!……ズルッ…  男はそのままケイを壁に叩き付けた。1度目よりも大きな音と共に叩き付けられたケイは、叩き付けられた弾みで頭を打ち、フラッとトイレの床に倒れ込んでしまった。 「はっ?もう立ってらんねぇの?弱っちぃな。」 「ってかまだ俺ら何も手出してなくない?」  ケイの視界がユラユラと動く。起きあがろうと手を付くが、力が入らない。全身に感じる、冷たいトイレのタイル。 「どこに寝てんだよ、汚ねぇな。」  一人が靴でケイの頭を踏みつける。 「あぁ……っ!!」  割れるような痛みにケイは声をあげた。 「さぁ、桐谷。遊びましょうか。昔みたいに…」
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