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「お前ら気にくわねぇんだよ。いきなりしゃしゃり出てきてエラそうに。」
そう言いながらケイの手を踏む男。
「…いっ……ぁ…!!」
「ほんま目ざわり。……消えろや!!」
ドスッ!!
凄まじい蹴りが腹に入った。
「ゲホッ!!ゲホッゲホッ…っ…ハァ…ハァ…」
「あれぇ?桐谷、ちょっと強くなったのかな?前なら一発蹴り入れただけで吐いてたのに。足りないっかぁ。」
そう言うとまた思いっきり腹を蹴られた。まるでサッカーボールを蹴るように。
ドスッ
「うっ……ゲホッゲホッ…」
「おい、靴に唾飛んだんだけど。」
「……っ…」
「拭け。」
「………」
ケイは体を起こすと、震える手をゆっくり伸ばし、シャツの袖口で男の靴を拭こうとした。しかし待っていたのはそれよりも辛い言葉。
「舐めろよ。」
更に過去の情景がよみがえってくる。何度コイツにこの言葉を言われただろうか。どれほどの異物を口にした事だろうか。
ふと、涙が出そうな感情に襲われた。
泣くな、泣くな、泣くな…
何度も涙をこらえ、ケイが舌を出して本当に男の靴を舐めようとした瞬間、思いっきり顔を蹴り上げられた。
ガツッ!!
舌を噛んでしまった、切れた部分から血が溢れ出してくる。あまりの痛みに両手で口をふさぐケイ。
「お前みたいなヤツに舐められたら俺の靴可哀想だからやっぱりやめた。代わりにさ、ここにも唾飛んでるからそこ舐めてよ。」
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