【第1話】『雪』

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「…タケル?」 「何?」 「タケルって人見知り?」 「…そうかもな」 「やっぱな。でも、さっき初めてタケルが笑ったの見た気がした。」 「そう?」 「うんっ」 「…なんでそんな冷たい目してんの?」  その質問には驚いた。こっちが聞きたいくらいの事だったから。 「そうか?」 「うん。笑った方が素敵やで」 「…へぇ。そう。」  笑った方が素敵なんて初めて言われたタケルは、少し照れくさくなったのを必死で隠した。  ♪~♪~♪~  横で鼻歌を歌うケイ。ずっと窓の外を見ている。 「ケイ、」 「何??」  ケイは初めてタケルに名前を呼ばれたので嬉しそうだ。 「家、ついた」 「え?あ、ほんまや」  ケイは荷物を持って車を降りた。 「じゃあ、送ってくれてありがとう」 「うん」 「また次のスタジオで!」  一人暮らしなのだろうか、ワンルームマンションのようだ。ケイは手を振って自分の住むマンションへ帰っていった。 「へんなやつ…」  ケイの香りが残る車でタケルも家路についた。 街に雪が優しく降り積もる夜だった。 【第1話-END-】
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