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「…タケル?」
「何?」
「タケルって人見知り?」
「…そうかもな」
「やっぱな。でも、さっき初めてタケルが笑ったの見た気がした。」
「そう?」
「うんっ」
「…なんでそんな冷たい目してんの?」
その質問には驚いた。こっちが聞きたいくらいの事だったから。
「そうか?」
「うん。笑った方が素敵やで」
「…へぇ。そう。」
笑った方が素敵なんて初めて言われたタケルは、少し照れくさくなったのを必死で隠した。
♪~♪~♪~
横で鼻歌を歌うケイ。ずっと窓の外を見ている。
「ケイ、」
「何??」
ケイは初めてタケルに名前を呼ばれたので嬉しそうだ。
「家、ついた」
「え?あ、ほんまや」
ケイは荷物を持って車を降りた。
「じゃあ、送ってくれてありがとう」
「うん」
「また次のスタジオで!」
一人暮らしなのだろうか、ワンルームマンションのようだ。ケイは手を振って自分の住むマンションへ帰っていった。
「へんなやつ…」
ケイの香りが残る車でタケルも家路についた。
街に雪が優しく降り積もる夜だった。
【第1話-END-】
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