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お願いしますと頭を下げようとした私の肩を、大きく温かい手で優しく押さえられる。その温かさに触れた時、なぜか目の前が曇り、床に水がポタポタと落ちた。
「お、おい、なんで泣く!?」
「姫様!! まさかレオ様……!?」
「俺はまだ何もしてねぇだろ!! アンタ見てただろうが!!」
「まだ何も……? まだって言いましたよね!! この町でレオ団長の二つ名を知らない者はいないのですよ!?」
「いや、何もしてねぇって!! 落ち着けよ!!」
どうしてだか涙が止まらなくてパニックになってたけど、私のために怒ってくれてるサラさんと、慌ててるレオさんを見てると無性におかしい。なんでこの人たちこんなに一生懸命なんだろうと思ったら、泣きながら笑ってしまった。
私の様子を見てホッとしたようなサラさんと、ふくれっ面のレオさんがやっぱり面白くてまた笑っちゃう。
「ごめんなさい。あの、人の温もりが久しぶりで……」
「す、すまない。つい肩をさわっちまって」
「本当ですよ! 清らかな姫様になんてことを!」
いや、サラさん落ち着いて。確かに言われるとおりですが、この年で清らかっていうと小っ恥ずかしいと言いますか……。
「あの、お気になさらず。私は異界から来たのでスキンシップ……ええと、触れ合いとかは気にしないですよ」
ただしイケメンに限るけどね!
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