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レオさんはとても悲しげな表情になった。私の外見は子供に見えるらしいから憐れんでくれているのかな。そこは気にしないでくれていいんだけどな。
確かに私は年増だし、この世界の常識だと今の年齢で結婚というのは難しい。いや、無理なんだろう。
だがしかし。
私がこの世界で生きていくには『春姫』っていうこっ恥ずかしい名のお役目をやっていかなきゃいけない。そしてこの仕事をしている間、衣食住はなんとかしてもらえる。少なくとも飢え死にすることはない。
しっかり老後に備えてお金を貯めて、お一人姫様ライフを堪能してやろうじゃないのって、思ってるわけですよ。
「あー、姫さんの気持ちは分かった。だが、俺が騎士になるっつー話はちょっと待っててくれ」
「もちろんです。すぐにお返事いただけるとは思ってなかったので」
「いや、そういうんじゃねぇんだ。俺は今この学校の講師をやってて、それがあと一週間で終わる。そうしたら騎士になる。それでいいか?」
「……へ?」
思わず間の抜けた声を出してしまった私を、なぜか嬉しそうに見ながらレオさんは続ける。
「ただし、俺を一番最初の騎士にしてほしい。他にも騎士にしたい男がいるなら、俺もしっかり見定めたいからな」
「うぇ、あ、はい? いや、まだレオさんだけですけど?」
「そうか。なんか嬉しいな。そういうの」
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