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突然始まったサラさんの愛情の暴走に翻弄されながらも、とりあえず本を読むのは後にして、今日はゆっくり寝ようと思った。
家族と離れたことは寂しくないけど、もし私が二度と帰って来ないって知ったらどう思うのか、少しだけ気になったりした。
そんなことを考えたからか、その日に見た夢の中で、私は小さい子供だった。
まだ将来漫画家になれるって、信じている頃の夢。
大好きな絵をたくさん描く、そんな幸せな夢。
翌日。
昨日の夢で、私は猛烈にお絵描きがしたくなった。だから今日は例の本を読まず、お絵描きに勤しみたいと思う。
朝食を持ってきてくれたサラさんに、絵を描くための道具を購入できるか聞いてみる。
「ええと、紙とペンに使うインクは高価なものなんだっけ?」
一応、この世界に来た時に漫画を描く道具は持ってきてるけど、これを使い切るわけにはいかない。高価だと言いながらも、サラさんは前に私が欲しいって言ってたのを覚えてて、なんと紙とインクを取り寄せてくれていたのだ。さすがサラさんだね!
「ふむふむ。少し厚手だけど、思ったよりも紙の表面がすべすべしている。インクも質がいいね」
「お気に召されましたか?」
「うん。ありがとう、じゃない。ありがとうございます。サラさん」
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