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「確かに作るのはそれなりに大変ですが、問題は原料になる木材と石が、魔獣の出現が多い区域にあるのです」
「魔獣……確か、凶暴になった動物みたいなの、だっけ?」
「ええ。人の住む近くには傭兵もいますし、姫様たちが移動する道などは定期的に魔獣を駆除しているのですが、それらの原料は人里離れた山奥にありまして……」
なるほど。魔獣を駆除する人手が足りなくて、紙やインクは後回しになってるんだ。
「その原料を取りに行く時って、どうやってるの?」
「職人が傭兵を雇い、魔獣を駆除してもらっているようです。ですがその人材も姫様たちを守るだけで手一杯ということもありまして……」
「ふむふむ。人里離れるから魔獣が多く、駆除する傭兵を集めるのにもお金がかかる。人里離れるために大人数の遠征費もかかるかぁ」
「本当に姫様は聡明でらっしゃる」
「いや、想像で言ってるだけだし、勉強はできないほうだったよ?」
勉強嫌いだから大学も行かなかったしね。今考えたら行けば良かったかなって思うけど、後悔はしてないかな。社会人になってからめちゃくちゃ勉強したし、プラマイゼロって思ってるんだよね。
「ありがとう。大体分かったよ。それじゃ、お絵描きしてるね」
「かしこまりました」
「出来上がったら見てくれる?」
「もちろんです。楽しみにしておりますね」
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