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10、コミカライズしてみました
私が今回選んだ本は、いわゆるロマンス小説だった。数代前の四季姫と騎士が、親御さんに結婚を反対されて駆け落ちするというものだった。
この世界では貴族制度がある。そして、身分の差で結婚を反対されることは多くあるらしい。この物語の中の姫は貴族の生まれ、騎士は平民の生まれだったという身分差があった。
「まぁ、身分差みたいなのは、日本でもあるっちゃあるからなー」
カリカリとペンを走らせながら、過去の男を思い出す。やけに上から目線の金持ちボンボンとなんとなく付き合うことになって、私が体を許さなかったばかりに振られちゃった。
振られた翌日、そいつが「婚約者」とやらの金持ちお嬢様と一緒にいるのを見て「結局金持ち同士で付き合っていたんじゃないか。私とは遊びのつもりだったのか」と思ったものだ。
まぁ、なんとなく付き合うことにした私も悪いんだけどさ。
「異世界でも変わらないんだね。人の営みっていうのは」
ひとり言を呟きながらも、ペンを持つ手は止まらない。久しぶりの感覚に私はトランス常態となる。ニヤつく顔をそのままに、ひたすら漫画を描いていく。
「失礼いたします。姫様、お食事の用意ができておりますが」
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