956人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふぁっ!? あ、サラさん、ありがとう」
「精が出ますね」
覗きにくるサラさん。大丈夫。しっかりと全年齢対象のを描いているから大丈夫。
薄い本(主に成人のみ閲覧可能の至高なる本のこと)だと危険だった。故郷にある聖地でやたら取引されていた本は、この世界ではまだ早いだろう。たぶん。
まだ数ページだけど、私の描いた漫画に目が釘付けのサラさん。何度も読み返しては、頬を染めて目を潤ませている。おおう、突然どうしたんだ?
「だ、大丈夫? サラさん?」
「これは数代前の姫ですが、実際にあった話なんですよ! この騎士様がとても美しく儚げで、そこに姫様も惹かれて……そんな二人がまるで生きているように描かれています! 素晴らしいです!」
「あ、ありがとう?」
「これは本を読んで描かれたんですよね。文章だけでよく絵が」
「そうだね。この世界だと絵とか入れないの?」
「子供用の絵本はありますが、このような小説になりますと絵が入らないのが普通です」
「実際の人物が本になることもあるんだね。数代前っていっても、本人達はまだ生きてるでしょ?」
「ええ、普通は数年ほどで交代されることが多いですから」
最初のコメントを投稿しよう!