10、コミカライズしてみました

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「ふぁっ!? あ、サラさん、ありがとう」 「精が出ますね」  覗きにくるサラさん。大丈夫。しっかりと全年齢対象のを描いているから大丈夫。  薄い本(主に成人のみ閲覧可能の至高なる本のこと)だと危険だった。故郷にある聖地でやたら取引されていた本は、この世界ではまだ早いだろう。たぶん。  まだ数ページだけど、私の描いた漫画に目が釘付けのサラさん。何度も読み返しては、頬を染めて目を潤ませている。おおう、突然どうしたんだ? 「だ、大丈夫? サラさん?」 「これは数代前の姫ですが、実際にあった話なんですよ! この騎士様がとても美しく儚げで、そこに姫様も惹かれて……そんな二人がまるで生きているように描かれています! 素晴らしいです!」 「あ、ありがとう?」 「これは本を読んで描かれたんですよね。文章だけでよく絵が」 「そうだね。この世界だと絵とか入れないの?」 「子供用の絵本はありますが、このような小説になりますと絵が入らないのが普通です」 「実際の人物が本になることもあるんだね。数代前っていっても、本人達はまだ生きてるでしょ?」 「ええ、普通は数年ほどで交代されることが多いですから」     
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