1、詰んだ私の事情

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 レジに持って行くと店員さんが「これ、オマケです」と何か入れてくれた。売れ残りだとは分かっているけど少し得した気分になる。 「ついでに本屋に寄ろう」  貯金はあまりないけど数ヶ月はなんとかなるだろう。アナログで漫画を描くためという言い訳をしながら、気分を盛り上げようと昔大好きだった少女漫画の豪華版を買ってしまう。反省はするけど後悔はしない。  満足した私は、いつになく前向きな気持ちで家に帰った。 「んー?」  やけに部屋が明るくて目が開けられない。電気つけっぱなしにしてたかなと目を開けると、真っ白な布に囲まれている。 「んあ? なんでシーツが?」  起き上がると、やけに布団がフワフワしている。すごく良いつくりのベッドで寝ていたみたいだけど……あれ? 「え、何でベッド……アパートにベッドは置いてないのに?」  声に出して確認するのは不安だからだ。  おかしい。確かに家に帰ったはずなのに。  ひとつずつ思い出そう。仕事の契約がきれて、落ち込んで、漫画セット買って、オマケもらって……。 「そうだ。オマケだ」  オマケにもらったのは、綺麗な青いインクとガラスペン。試し書き用の紙が入っていて、点線をなぞっていくと綺麗な模様が出来上がったんだ。     
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