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「教えていただけると、ありがたいんですけど……」
「……こ、ここは、春姫様の塔で、ござい、ます」
「塔?」
大きなベッドから抜け出して足をおろそうとすると、女性がスリッパのようなフワフワなものを出してくれた。石の床と石の壁で造られた灰色の部屋を見回す。大きな窓には鉄格子がはめられていて「牢屋?」と思うけど、近くまで寄れば分かった。この部屋は何階建てか分からないけど、やけに高いところにあるみたいだ。
「この鉄格子は、落下防止?」
「え、ええ。まぁ、そうです」
なるほどと、やっと私は現状を把握できたような気がする。
窓から見える景色を見て納得したのもある。
遠くまで広がる緑、流れる川は遠くに見える湖に繋がっていて、視界を移せばアルプスのような山々も見える。
そして、やけに大きい鳥。
とにかく大きい鳥が数羽飛んでいるんだよね。バッサバッサと。
どれくらいかっていえば小さな飛行機くらいかな。
うん。大きいね。
すごいね。
「あの、ここはなんという国なんですか?」
「塔はどの国にも属さないので……伝説では神王様が建てたそうで、各国が連盟で管理しています」
「しんのうさま?」
「この世界『フィアテルエ』を造られたという神様です」
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