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3、詰んだ騎士選び
そうはいっても『姫』として頑張るためには『騎士』が必要らしい。どうすればいいのかを唯一の話し相手であるサラさんに聞いてみることにした。
ひと仕事終えたサラさんは、笑顔で質疑応答に付き合ってくれている。ありがたい。
「サラさん、騎士を選ぶ時の注意点とかって分かります?」
「え? 騎士様でございますか? すみません。私は塔に入るのも初めてでしたので、そこまでは……」
「ですよねー」
しょんぼりとする私に、サラさんはさらに申し訳なさそうな顔をする。
「神王様から選ばれた『四季姫』が塔に入ると、塔が光るので世界中が認識します。その時に我こそはという人間が騎士様になることを目指して、塔に向かうのですが……」
ふむふむ。それなら春姫である私の所にも、騎士になりたい人たちが来てるってことかな?
「歴代の春姫様たちは言葉も通じず、心を病んでしまうことが多かったそうです。なので、春の塔が光っても騎士になろうとする者は少なく……」
「あ、それなら少ないその人たちに騎士になってもらうとか」
「すみません。私は嘘をつきました。騎士様候補は一人も来ておりません」
「おぅふ」
ダメじゃないか。詰んでいるじゃまいか。ちくせう。
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