プロローグ

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小学校 美術の時間、 「みんな、今日は『自分が思う自然』というテーマで絵を描いてみましょう」 絵が好きだった。 自分が神様になったようになれるような気がする。一つ一つ丁寧に描けば本当になりそうで、毎日絵を描き続けた。 (私の思う自然か...) ひとりでに、手が動きだす。滑るように鉛筆が動いて、出来上がったのは... 「宇宙...」そう、私の思う自然は宇宙。 自然って、草とか花とか動物とか思い浮かぶと思う。でも、本当の自然って宇宙から生まれた不思議なモノ。 「描き終わったら、絵の具を塗ってくださーい」美術の上田先生が言った。 「自然ってなんだよ!」「生き物とか?」「先生!もっと面白いテーマにしてくださーい」「男子うるさい」 いろんな感情と言葉が飛び交う中、私の手は黒色の絵の具を取ろうとしていた。 「なーに描いたの?」そこに、友達のユリカが突然あらわれた。「ビックリした..」私の反応を見てユリカは、私ってそんな影薄いかなとボソボソ言いながら私の絵を見た。 「何これ」「宇宙だよ、で、これが地球」ユリカは不思議そうな顔で、新しい発想と言った。 嬉しかった、私は人と同じは嫌だった。違っていたかった。ユリカが自分の席に戻っていった後、私は絵の具を塗ろうとした。もっと新しいと言われたい。もっと違くするには?とっさに私は赤と白の絵の具を取って塗り始めた。 先生がまわってみんなの作品を見ていた。自信がある。きっと、新しい、面白いって言ってくれる! 先生が自分の席に来たとき、足が止まった。何を言ってくれるんだろう? 「なんで、ピンクなの?」 先生はそれだけ言った。 「ピンク色の宇宙です!」自信たっぷりに言った。 「佐藤さんふざけないでやってくださいね...」上田先生は顔をしかめて言った。 「え?」私は絶望した。 その時からだったけ、絵が嫌いになったの
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