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「私がいつまでも、何も言わないと思ってた? 私は毒舌じゃないけど、言わせてもらうね」
スマホを拾い上げると、埃を払って覗き込む。画面にヒビが入っているけど、まだ動く。
途中になっていた投稿画面から私と有美のツーショット画像を削除する。
念のために。もし誤動作で投稿でもしちゃったら、笑えるから。
「私、別に有美より格下じゃないからね。もちろん、上でもないけど」
「……」
「知ってると思うけど、私も有美もフツーのひと。だって、そこまでかわいくもないでしょ。ちょっとハートが付いたとしても、それは有美に対してじゃない。有美が作った別のひとに、だよ」
私が一気にまくし立てると、呆然とした表情の彼女と目が合う。
いつも何も言わない私が突然、色々言ったんだもん。びっくりするよね。
「別の……ひと」
「そうだよ。別のひと。……あと、今後一切、私の写真を黙ってSNSにアップしないでね? 最低限のマナーだよ?」
いつもの "毒舌" が、なりを潜めた有美を見下ろして、彼女のスマホを取り上げた。
「あっ」という、小さな声が聞こえたけど、そんなの知ったことじゃない。
「私の写ってる投稿、消すね。怒ってるとかじゃないんだよ? これからはホントにやめて欲しいんだ。分かる?」
私が次々と投稿を消すと、SNSアカウントは、すっからかんになった。
思っていたよりも、有美は私との写真ばかり投稿していたことになる。
いくら都合良く考えても、その事実が真希と有美が "親友で仲良し" だからではないことに気付いてしまった私は、何だか切ない気持ちになった。
「ねぇ、聞いてる?」
少し強い口調で言った私に向かって、有美は黙って頷く。
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