おおきな国のちいさな村

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カタカタと動く風車に、さわさわと揺れる木々。大国ブリーズの中にある小さなフウシャ村は今日も活気であふれている。 そんな村で大きなリュックを背負った緑色の髪の少女は市場をスキップでかけていた。 「おう!メブキちゃんどうした?スキップまでしちまって。」 肉屋の快活な主人がその少女、メブキに話しかけた。 「村長様が春風の民の試練を受けていいっておっしゃってくれたの!小さい頃からの夢だったからうれしくて!」 「ああ、もうそんな年かぁ。16才になれば試練を受けられるんだったな。まぁ、頑張りな!」 「うん!」 そう言って、村を後にした。 この国では16才以上の者は風を操る力を持つ「春風の民」になるための「五つの試練」を受けることができる。風は土を豊かにし、空を飛べる。子供たちみんながその力を欲しがった。試練の内容は、キキバの森・イトの洞窟・ウタの海・オオバネ火山・パタパの丘でそれぞれの場所の主からの祈りを受けるというものだ。 しばらくするとキキバの森に着いた。生い茂る木で中は薄暗いものの、隙間からまぶしい光がさしている。メブキは右を見たり、上を見たりして、森の奥へと進んでいく。 「うわぁぁぁ、どいて、どいてーっ!!」 どこからか声が聞こえる。そう思ったときにはメブキは何かとぶつかってしまった。
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