下向き

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
私はいつも下を見ている。 歩く時も、人と話す時も。 私は前を向くことができない。 怖くて怖くて仕方がないのだ。 別に何かあった訳ではない。 身体の機能に異常がある訳でもない。 ただただ怖いのだ。 今日もいつも通り下を見て歩いていた。 地面に雫が落ちてきた。 雨かなと手をかざしてみるが違うみたいだ。 でもまだ雫は落ちてきている。 この雫はどこから落ちてきているのか。 私は意を決して上を向いた。 頬を伝っていく雫。 久しぶりに見た空は綺麗だった。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!