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「メガネ」
「え?」
「メガネ、くもんねぇのかなーって」
「そんなやわじゃないよ、このこ」
「ふーん。そういうもんなの?」
「そんなもんだよ」
「…そっか」
「うん」
「ていうか」
「ん?」
「なんで急にカメラ?好きだったっけ?」
「べつに。もうすぐだから。撮っておこうと思っただけ。暇つぶし」
「…そ」
「アンタは?」
「え?」
「なんで急にあたし?」
「いや、べつにお前ってわけじゃねえよ。たまたま。暇つぶし」
「ふーん。そう」
「そうだよ」
「ふーん?」
「…ムカつくからその顔やめろ、って、あ、こら勝手に撮るな。やめろ、バカ、やめろってば!」
(からから笑う自分の声と、ぱしゃり、ぱしゃりと閉じていく音がやけに響いた)
(ここにいま溶けおちていく時間だけでも)
(かたちにしたいだなんて)
「バカみたい」
(そんなこと、言えるわけもなかった)
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