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それから、地球の大気圏突入時に気候条件がきびしく、往復で22時間かかり、ゲシュタルト号の帰りの便で、スペースデブリに接近してしまい、やむなく航路を変更して、2日間と6時間かかってしまった。
つまり、タイムリミットの5日間を過ぎてしまったが、なぜだかヤエちゃんはあわてるそぶりも見せなかった。
ヤエちゃんに聞くと、ただ、こう冗談まじりに言うだけだ。
だってまだ、金星では1日もたっていないもの。
後で聞いた話だが、ヤエちゃんをはじめ、シュタンツ学園の研究員のみんなが、必死にセキュリティロボットの性能をあげるとともに、金星政府、地球政府とともに宇宙海賊対策を推進していったらしいとのことだ。
フラスコの中で育ったホムンクルスは、そのフラスコが、日々大きくなっていることを知らない。
フラスコの中で育ったホムンクルスは、ファウストが、一生懸命フラスコを大きくしようと実験をくり返しているのを知らない。
けれどもいつか、そのフラスコは大きく広くなり、世界そのものを包み込んでしまうくらいにはなるだろう。
モンヤエザクラチョウの見る夢という世界を。
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