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空への片思い
空を見上げる。
何回この行動をして来ただろう。
見上げて、キャンバスを準備し、筆に水をつけ絵の具をキャンバスにのせる。
子供の頃、空に見いられてから狂ったように空ばかりを描いている。
春の空、夏の空、秋の空、冬の空、晴れ、曇り、雨、雪…いろいろな空を描いた。
私の目に写る空は、どれも輝いていた。
青空に真っ白な積乱雲がかかるときも、ギリギリまで雨を溜め込み重そうに居座る雲におおわれている時も、我慢できず雨を落としている時も、どんな空も輝いていて、愛しいのだ。
私は、愛しいその空を幾度も表現しようとキャンバスの上でもがいてきた。惜しいところまでは、行くのだ。多くの人も素晴らしい絵だと評価してくれた。
しかし、なにかが足りない。私の愛する空はこんなに濁ってはいないし、こんなに霞んでもいない。
何十年と向き合ってきても、表現できない何かが空にはあるのだ。その何かは、一生かかっても表現することはできないかもしれない。
それでも私は、その空を表現できる日が来ることを願い、今日も空を見上げキャンバスに向き合いながらその日を待つのだ。今日の空は、一筋の飛行機雲を浮かべ、輝いていた。
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