1章 FPS少女と片腕の少年

7/7
前へ
/14ページ
次へ
「……へ、変態だ」  確信してしまった。  この男は自分以上にこのゲームのことを知り尽くしてしまっている。  まさに人間卒業したようなもの。  そのような者に褒め言葉として【変態】という称号が贈られる。  どちらかといえば、こんなゲームに何ムキになっちゃっていんのという皮肉の意味合いの方が強いのだが、この男はまさに人間業では出来ない芸当をしてしまった。 「ぬぁあああああ、くそぉおおおおお!」   キルカメラが終わり、また私は叫んでいた。  結果、この男がチーターではないということが分かってしまったのだ。  それは自分の完全な敗北、そして自分以上の腕を持っていると証明されてしまった。  涙目になり、その男のキャラクタープロフィールを開示する。 「名前……IBAあいーびーえー?」  再び男のキャラプロフィールを見ると名前が書いてある。  読み方はどうなのであろうか、分からないが一つだけ有力とも思えるような情報が見えた。  「国は……ジャパン! 日本人か、こいつは!」  コマクロは世界各国で流行っている大人気のゲーム。  であれば相手が自分と同じ国は限らない。けれど、プロフィールには確かに私と同じ住む国JAPANと書いている。  こいつは九割の確率で日本人ともいえるのは間違いない。  あとの一割は留学しにきた外国人という可能性があるが、その線は無いだろう。いや、まず無い。 「あいびーえーとか言う奴……今度、会った時は蜂の巣にしたあとその死体にC4くくりつけて、塵すらも残さないようにしてやるわ……」  私はいつか復讐を誓い、コマクロをログアウトすることにした。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加