1章 FPS少女と片腕の少年

3/7
前へ
/14ページ
次へ
それはあの軍刀……日本刀を持った男の強さが異質イレギュラーだけだったこと。それも戦火の皇女を越えるほどの異質。  それは異質という言葉では表せないものだ。  それに普通の相手でもない。 「ナイファーとか……ありえんだろ!?」  そう、ナイファーという相手だったからだ。  ナイファーとは文字通り、ナイフというように近接戦闘でしか使われないものをあえて、ずっと使い続けている輩のこと。もちろん、これはメインが銃撃戦というゲームにおいてそのハンデは重荷でしかない。  その行為はするということは単なる目立ちたがり屋か、もしくは完全に勝負を捨てる、いわばゲーム上でのアウトロー的な存在だ。  特に許せないのが相手はあの軍刀という形式の武器を持っているということ。  軍刀はコマクロがサービス開始された当初、これを装備すれば普段のナイフよりリーチが長い攻撃が可能としナイファー達の中でも話題となるほどの代物だった。  しかし、そういったナイファーたちにやられまくった奴らがそれを嫉妬。  それでは強すぎるのではないかという運営会社に弱者たちが要望メールを送り続けた結果、オンラインゲーム特有の弱体化パッチが重ねられ、現在では申し訳程度のリーチ差と攻撃するまでの時間が刀の鞘を抜く為に普段のナイフより遅くなるという仕様で最弱のネタ武器へと成り代わった。  またプレイヤーはアサルトライフルやマシンガンなどのメインウェポンとハンドガンなどのサブウェポン、それに投擲武器いわゆる手榴弾などが持てるが、軍刀はメインウェポンに位置づけられる為に主力武器であるアサルトライフルを外さなければ装備できない。  私も当初は何回かそのナイファーにやられたことは少なくともあった。しかし、自身の考えでは――。 「要望メールを送っている暇があったのなら、腕を磨け。ド素人め」  というものだった。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加