1章 FPS少女と片腕の少年

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 そう、相手がチートという改造行為をしているのではないかということだ。   チートを使っている者はチーターと呼ばれ、もしこれに負けても周りからは仕方ないという目で見られることになる。またその証拠を運営に連絡すれば一発でアカウント停止される。 つまりその勝敗は無効試合というわけだ。  ではどうやって、周りにそれを知らせることが出来るのか。  このゲームは勝敗が着いた最後にキルカメラというプレイヤーが最後どうやって勝ったのかをゲームに参加した全員がそのプレイヤーの目線で見ることが出来る機能がある。  これによって、周りへの勝敗は証明されるというわけだ。  ゲーム画面が映し出されると、先ほど日本刀を持っていた男の目線が映し出されている。  男の前にはコンテナのすぐ傍で日本人的な少女の顔つき、長い髪を無理やりヘルメットに被らせた為か、後ろ髪が半分はみ出ている状態の女性キャラがコソコソと何かを仕掛けている様子があった。男が目線を合わせると、そのキャラの上には【Yuriユーリ】というスペルが表示されている。  それこそ私がが操作しているキャラクターの名前だ。  それはコンテナに爆弾を設置している場面だった。  だが、その光景にはなぜか違和感を覚える。  なぜ、この男はそれを黙って見ているのか? 「この男……私が爆弾を仕掛け終えるのを待っていたの? どれだけ侮辱すりゃ気が済むのよ!」  ドンと机を叩いた。  この男の侮辱した行為、いわゆる舐めプレイに腸が煮えくり返りそうなほどイラついてしまう。 「落ち着け……まだだ」  だが、まだ戦闘にはなってない。  相手がチーター野郎であれば、運営に報告しプレイヤーのアカウントを削除すればこの腸も静まるはずだ。 ようやく爆弾を仕掛け終えると、この男に気づいたのか銃を構えて対峙する。 「気付くのが遅い!」  自身のキャラにツッコミを入れながら、この男の動きを注意深く見ることにした。  先に動いたのはユーリ、私のキャラだ。  銃の弾丸が放たれると同時に男はいつ撃ってくるのが分かっていたのか横へと動く。  これによって弾丸は避けられていく。 「ま、まあここまでは出来る奴もいるわね……だけど、問題はここからよ!」  この後にユーリはマガジンの弾を撃ち終えリロードをしようとしている。  そこに気づいていたのか、偶然か男はすでに間合いを詰めてかかった。
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