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しかし、こう考えていたことが思うように事が進むほど気持ちがいいものはない。
その証拠に少女の手が震え始めている。
「この快感――たまんない!」
が、すぐに少女は自らを押さえつけ、その興奮を無理やり殺した。
ここで満足するわけにもいかない。
この爆発で残り一人に場所を知られてしまったはずだ。
だが、残りの一人がその場に来るとは考えにくかった。
なにせ少女には小型コンテナの破壊というミッションがある。同様にそれを阻止にするのであれば、現れるはずの小型コンテナの近くに行くのが普通の考えだ。
「どちらにしても私にタイマンで勝てるような相手など存在はしないけどね」
少女は勝利への自信を持ち、すぐに移動しはじめた。
森から出て、小型コンテナがある開けた平地に着く。
まずは周りの索敵を開始し、ここで敵が待ち伏せていないか、罠などが貼られていないかを確認するが――。
「何も無い?」
しばらく見渡してもどちらもその形跡が無いとなると、逆に不安になってくる。
普通であれば、ここになんらかのトラップなどの細工をしてから索敵を開始するのが定石のはずだ。
遠くに見える高台を見ても、スナイパーなどの影もない。
「こりゃ、最後の一人は臆病者チキンね」
たまに数に身を任せて、自分は何もしないという兵士のことを思い出す。自分の味方はこんなにいるから、誰かがやってくれるだろうという甘い考えを持った奴ほど自分ひとりになると殺されたくないからと逃げ回る奴がいる。
それならば彼女は時限爆弾の機械を取り出して小型コンテナに設置することにした。
爆破のカウントダウンを六十秒後に設定する。あとはその場を離れて爆破完了するまで待つが、その間に解除されてしまえば、もう爆破する為の爆弾を持っていないので作戦失敗となる。
「とうとう、敵も出てこないわけか。拍子抜けしたわ」
ここで一流としての答えを出すならば、実は爆弾を設置している時が一番の隙が出来る。そこを攻められれば、自信を持っている彼女でも太刀打ちすることが出来ない。なので、少し緊張をしながら爆弾のセットをしていたが……。
「これじゃ三流を通り越して、ただのバカね」
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