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少女はすぐに銃を構えることとなった。そこでようやく敵の姿が見えたのだ。
目の前には礼服のような黒い軍服に帽子を被っていない男が立っている。
だが、不自然にその男の様子はおかしい。なにせ銃器を所持しているように見えない。
腰にもハンドガンを納める為のホルダーも見当たらない。あるとすれば、左手に携えている鞘に入れた刀。
「あれは軍刀サーベル? 違う、日本刀だ」
意味が分からず、そのまま銃を撃たずにその行動の真意を理解しようとする。
「なるほど……タイマンをご所望というわけね」
こういった中距離ならば刃物では銃器に勝ることなど到底できない。
ならば、ルールを捨てて接近戦でのタイマン勝負を相手は望んでいるのだろう。
「悪いけど、その答えはノーだわ! 潔く死ねぇ!」
問答無用に少女は銃の引き金を最大まで引く。フルオートで乱射される銃弾は男を蜂の巣に変えようと迫っていた。
「これで作戦成功! 敵部隊は全滅! 私の逆転大勝利ってね!」
だが、男は冷静に動いて銃口から逃れるように平行に移動する。
「なっ、避けられた?」
なおも銃口を動かし、撃ったまま男を捕らえようとしたが銃に装填されていた弾を撃ち尽くしたのか、カタカタという空撃ちの音が鳴る。
急いで少女は弾倉マガジンを取り外し、腰にあるホルダーから予備の弾倉マガジンを取り出す必要があった。
だが、男はそれを狙っていたのか、少女との距離を一気に詰めてきた。
「は、速い!?」
その迫り方はまるで獅子が獲物を捕らえに来るかのようなものだった。
このままではリロードもしたとしても一発か二発程度に撃ち終わり、反撃を許してしまう。ここはグレネードランチャーに装備を変えるべきか、いやこの距離であれば安全装置が発動してしまう。
彼女の脳内で思考が巡り、何パターンかの攻略映像を頭に流す。
その中に一つだけ勝てる映像が見つかった。
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